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エボラ関連:感染防護具(PPE)

更新日:2024年5月28日

PPE(個人防御具)についてのよくある質問(2014年10月27日 暫定版)

質問1:エボラ出血熱が流行しているので、院内のPPEを見直しているところです。 ポイントはなんですか?

説明

原則は血液・体液曝露の予防です。医療行為や患者の状態によっては飛沫への対策も考慮します。PPEの準備としては、症状がある人への対応として、「露出部位をなくす」ことを基本に考えます。

考え方

  • 頭のフード付きのボディスーツ型のものは、首や頭はカバーしていますが、顔の皮膚が残ります。
  • マスク(口や鼻の保護)やゴーグル(目の保護)をして残る部分はフェイスシールドを加えます。
    注)これは体液曝露を想定する症例への対応を基準としています体液曝露の蓋然性が低い場合は、フェイスシールドまたはゴーグルのどちらかで問題ありません
  • 上下セパレート式の場合、頭のフードが無い場合はフードカバーを用意すると頭と首の部分を覆えます。
  • マスクは、無症状の方と吐き気のある方では考え方が異なりますが、すべての状況に対応をする前提ではN95マスクを標準とする考え方もできます。

質問2:NCGMではどのような対応をしていますか?参考までに教えてください。

説明

当院の場合は、エボラ出血熱がうたがわれる場合のフルPPEとして頭のフード付きの つなぎ式の防御具を最初に着ます。

  • 足カバーをつけます(状況によってなブーツ/長靴を準備します)。
  • 首の部分は露出しないよう付属のテープでとめます。
  • 耐水性のガウンをこの上につけます(施設によってはエプロンを採用しているようです)。
  • 手袋(内側用と外側用の二重)をつけると、この時点で露出をするのは顔だけになります。
  • 顔については、目の保護としてゴーグル、残った皮膚用をカバーするためにフェイスシールドを使用します
当院でのスタイルを写真で公開しています。

発熱以外に症状がない場合と、嘔吐しそうな体調不良の人への対応など、状況に応じたマスクの使い分けは可能と思います。医療機関特性に応じて、組織のプロトコールを確認しましょう。

当院が備えているもの

  • つなぎ方の防御服 M L LL XL
  • アイソレーションガウン(手首に絞りがありフィットするもの)
  • 医療者用ユニフォーム(上下) LとM
  • 手術用手袋 L/M/S/XS  ラテックス性 ニトリル性
  • サージカルマスク
  • N95マスク レギュラーとスモール
  • ゴーグル
  • フェイスシールド
  • 足袋
  • 靴下(軍足)
  • PPEセット 大 小

質問3:自分はPPEに詳しくありません。 どのような製品を選べばいいのかは誰に相談をすればよいでしょうか?

説明

医療機関(外来、ER、第一種指定医療機関)、保健所等で想定される状況やニーズが異なりますので、まずはどのような状況に備えるのかを確認します。耐久性や防水性には幅があり、またコストもかわります。このため、4-5時間病棟用なのか、1時間程度の問診や外来で使用するものなのか、などを検討し、たくさんあるPPEのなかから選択をすることになります。取扱い業者のカタログなどにも防水性等の記載があります。サイズがいろいろありますので、大きい人用と小さい人用等を考慮すべきか、職場の状況に応じて購入を計画します。

医療機関における感染予防は、日本看護協会が認定している「感染管理認定看護師」(2014年現在国内に2070名)にご相談ください。
第一種感染症指定医療機関のような一定規模の病院には専従で配置されていることが多いので、ぜひ病院代表からおといあわせください。

  • どのような時にどのようなPPEを選択するのか
  • どのような製品があり、目的や費用をどう検討するのか

院内での物品の採用を決める中心となっているのが感染管理認定看護師です。地域にいる感染管理認定看護師はこちらから検索できます。

質問4:PPEは購入できることになりました。他に何をすればよいでしょうか。

説明

技術的な訓練として「着る」「脱ぐ」「捨てる」「手を洗う」について繰り返し訓練をすることが重要です。
一度や二度練習をしただけではできませんので、着脱をする場所には、必ず写真やイラスト入りのガイダンスを掲示します。
また、鏡をおいて顔の部分の最終チェック、背面が整っているか確認することや、二人一組で確認しあうことも適切なPPE使用のために重要であることを皆で理解するようにします。

訓練のポイント

着る

露出部位がないかをお互い確認しましょう

脱ぐ

外側が汚染されている前提で、汚染しないように順番通りに脱ぎます

捨てる

捨てやすいように廃棄物の対応をきめておきます。使いやすい位置も考えましょう。
(接触者調査などで地域で使用する場合は、専用の袋を持参します)

手を洗う

一番最後の手洗いがおわるまでは、他のところをさわらないようにします。

よくある失敗を紹介します。

  • 「汗をぬぐう」
  • 「顔にかかった髪の毛をさわる」
  • 「ずりおちた眼鏡をさわる」
  • 「メガネが曇って見えにくいので眼鏡に手をもっていってします」
  • 「かゆいところをかいてしまう」
  • 「鼻や目をこする」
暑い中練習をすると、ふらつくこともありますので、足袋を取る時などに、よろめいて転倒することがあります。状況によっては椅子を用意しておくとこのような事故を防ぐことができます。眼鏡もゴーグルも曇ってしまうと、事故のリスクにつながります。必要に応じて曇り止め等を準備しましょう。

質問5: PPEについての皆で勉強をするためにはどうしたらよいですか? 質問はどこにすればよいですか?

説明

国立国際医療研究センターでは、現在、厚生労働省結核感染症課の協力のもと、公開用の動画教材を準備しています。

近日中に公開予定です。また、メールでの医療機関や行政からの相談を受け付けています。

idsupport(a)hosp.ncgm.go.jpにお問い合わせください。  (a)は@に変えてください

注:この医療機関・行政への相談対応・支援は、平成26年度 国際医療研究開発事業 「医療機関等における感染症集団発生時の緊急対応方法の確立及び対応手法の普及・啓発に関する研究」 によって企画・実施・評価を行っています。