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腸チフス
腸チフスについて知っておきたいこと
腸チフスの基本的な説明
東京都感染症情報センター「腸」チフスという名前から下痢症状を想像する方も多いと思いますが、必ずしも感染した方みなさんが下痢をするわけではありません。
診断のきっかけになるのは「発熱」です。
医師が"持続する発熱の原因"を考えて、感染症診療で重要な「培養(ばいよう)検査」を出してはじめてこの「菌」がいることがわかります。血液や便を調べる検査です。
菌を持っている人を「保菌者(ほきんしゃ)」といいます。菌を持っている人全員が必ずしも発熱などの症状が出るわけではありません。
腸チフスは、感染したヒトの便や尿に汚染された水、氷、食べものを取ることによって移ります。ごく少量の菌によって感染することもあるので、手洗い等感染予防が重要です。
食事の前、食事を作る前には手を洗いましょう。
- 治療:抗菌薬で治療をします。菌に効果があるかどうかの確認・選択も重要です。
- 予防:手洗いのほか、予防ワクチンがあります(国内は未承認の輸入ワクチンです)。
当院のトラベルクリニックで接種が可能です。
流行地へ行く、曝露リスクが予想される、等の場合は出発前にかかりつけ医師やトラベルクリニックでご相談ください。
参考
- 2014年8月 読売新聞 (当院 金川修造 医師 取材協力)
海外旅行の感染症対策…目的地のリスク確認
関連情報
- IDWR 2013年第39号<注目すべき感染症>
「腸チフス 2013年-国外渡航歴のない感染者の増加」 - IASR 2014年4月
「国外渡航歴のない腸チフス感染例由来菌株の分子疫学的解析ならびに薬剤感受性試験の状況 2013年」 - IASR 2012年2月 速報
腸チフス 2011年 - IASR 2004年
バングラデシュツアーにおける腸チフスの集団発生(当院 加藤康幸 医師 報告) - Eurosurveillance, Volume 18, Issue 46, 14 November 2013
Salmonella Enterica Serotype Parapyphi A Carring CTX-M-15 type extended-spectrum beta-lactamase isolated from a Japanesetraveller returning from INDIA, Japan, July 2013 (当院 馬渡桃子医師 報告) - 横浜市の医療機関の症例
「感染症法」改正後に市中病院で経験した腸チフスの男児例(2011年) - 川崎市の医療機関の症例
坐薬使用によって伝 染したと思われる腸チフスの親子感染例(平成8年)
米国は食品由来感染症の迅速把握、病原体の情報のデータベース化が進んでいます。
- 教育施設のラボでの曝露(41症例、死亡0、入院36%、62%が21歳以下)
Human Salmonella Typhimurium Infections Linked to Exposure to Clinical and Teaching Microbiology Laboratories
- ペットのはりねずみ関連(12州26症例、死亡1、入院1)
Multistate Outbreak of Human Salmonella Typhimurium Infections Linked to Pet Hedgehogs (Final Update)
- ひき肉関連(6州、22症例、死亡0、入院7)
Multistate Outbreak of Salmonella Typhimurium Infections Linked to Ground Beef (Final Update)
デンマーク
患者情報とデーターベースから把握された豚→ヒトへの広がり
A regional outbreak of S. Typhimurium in Denmark and identification of the source using MLVA typing.
ロシア
複数地域での病院での広がり
Multiple Outbreaks of Nosocomial Salmonellosis in Russia and Belarus Caused by a Single Clone of Salmonella enterica Serovar Typhimurium Producing an Extended-Spectrum β-Lactamase
トルコ
新生児ユニットでの院内感染
Salmonella typhimurium outbreak in a neonatal unit in Turkey
「腸チフス防疫対策実施要綱」(昭和41 年11 月、衛発788 号「腸チフス対策の推進について」)に基づいて感染経路等の疫学解析と患者の把握のために、日本国内で分離されたチフス菌、パラチフスA菌は国立感染症研究所細菌第一部に送付することとされている。国立感染症研究所細菌第一部では、送付された菌のファージ型別を行い、疫学情報としてファージ型別の結果を整理し各地方衛生研究所、保健所に情報を提供している。
http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/paratyphoid_2012.pdf