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抗菌薬啓発週間2015
耐性菌問題、進まない新しい薬剤の開発。このままでは「治療薬の無い時代、再び」となるのでは?という危機感のもと、国際機関や各国は幅広い対象に向けて抗菌薬の適正使用を呼びかける啓発をはじめています。国立国際医療研究センターでは、2014年の第5回織田記念シンポジウム「耐性菌との戦い~医療・地域・未来を守る~」と題して、WHO、ヨーロッパCDC、米国やネパールの専門家らと、現在の課題や今後必要な取り組みについてのディスカッションを行いました。「抗菌薬の適正使用」については様々な書籍があり、関連雑誌の特集が繰り返され、学会の演題や特設シンポジウムも多々開かれています。
しかし、抗菌薬の適正使用は医療者や医療機関だけが取り組んでもうまくいきません。抗菌薬が必要な状況、不要な状況、どのようにして次世代にこの公共の財産を残していくのかということを伝えていくことが必要です。
国際感染症センター(DCC)では、昨年のディスカッションでの提言を元に、広く耐性菌についての注意喚起、必要なアクションの提案を行います。感染症診療や対策で日常から連携をしている皆様と共に取りくめるようネットワークの強化をはかります。
これまでの取組&これからの取組
第5回織田記念シンポジウム「耐性菌との戦い~医療・地域・未来を守る~」(国際感染症センター 企画)
耐性菌との戦い~ 医療・地域・未来を守る ~バンプレット(PDF:6.21MB)
からだの教室 第2回「風邪との上手なつきあいかた~病院やお薬とかしこくつきあおう~」(東北大学 企画)
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/karada/archive/285/
Facebookグループでの情報交換 Antibiotic Awareness Japan (管理人:具芳明 医師/東北大学)
https://www.facebook.com/groups/166203633576142/
Twitterでの情報交換 AAD_Japan
Twitterでの情報交換(英語)抗菌薬啓発2015 実行委員会
国際感染症センター(DCC)による取り組み
活動内容:各地・各団体で抗菌薬啓発活動が計画・実施されるよう、参考となるような活動・情報発信を行います- メーリングリストやソーシャルネットワークに参加し、適切な感染症の診療や対策に関心をもつ人たちへの啓発活動に参加します
- 共有できる資材を作成・発信し、個人や現場レベルで取り組めそうな活動を提案します
- 各地で行われた抗菌薬開発活動に学び、今後の企画につなげます
- メディアセミナーを開催し、抗菌薬の適正使用が広く理解されるよう協力関係をつくります
【Action 1】啓発用ポスターを作成し、さらに他の施設でも供用できるようなデータを公開しました(2015年10月20日)
[写真・デザイン 忽那賢志 医師]
左のJpegデータは、地域・医療機関での啓発に活用できます。使用法については、上記のPDFスライド説明資料をご確認ください。パワーポイントの資料も適宜加工して、説明等にご利用ください。
世界の啓発活動
アメリカ Antibiotics Awareness Week
http://www.cdc.gov/getsmart/week/overview.html
ヨーロッパ Antibiotic Awareness Week
http://ecdc.europa.eu/en/EAAD/Pages/Home.aspx/
オーストラリア Antibiotic Awareness Week
http://www.nps.org.au/medicines/infections-and-infestations/antibiotics
カナダ Antibiotic Awareness Week
http://antibioticawareness.ca/
香港 Antibiotic Awareness Day
http://chp.gov.hk/en/view_content/37111.html
イギリス Antibiotic Guardian
https://antibioticguardian.com/
オーストラリア Australian Commission on Safety and Quality in Health Care: AMR Campaign 2015
カナダ Federal Action Plan on Antimicrobial Resistance and Use in Canada: Building on the Federal Framework for Action
WHO
WHOホームページより
2014年の第67回WHO総会で、2015年5月の第68回総会に向けて、耐性菌に関するグローバルアクションプランを立案することが決まりました。世界全体で取り組む、初めての抗菌薬啓発週間が2015年11月16日~22日に開催されます。
この啓発活動の目的は、世界に広がる薬剤耐性菌についての多くの人に知ってもらうこと、そして、地域や医療機関、政策立案にかかわる皆で、将来の薬剤耐性菌の広がりを阻止するための最も有効な取り組みを促していくことです。
G7
G7の共同声明
2015年 ドイツで開催されたG7の会合で、初めて耐性菌の問題がアジェンダとして明示されました。
OECD Antimicrobial Resistance in G7 Countries and Beyond
http://www.oecd.org/els/health-systems/antimicrobial-resistance.htm
G8/G7サミットに向けた各国学術会議の共同声明(Gサイエンス学術会議共同声明)の資料は日本学術会議のホームページでアクセスすることができます。
資料「Infectious Diseases and Antimicrobial Resistance: Threats and Necessary Actions」
和訳「感染症と抗菌剤耐性 :その脅威と対策」
http://www.scj.go.jp/ja/int/g8/
日本 院内感染対策中央会議
行政機関、医療者、及び一般国民に向けた「薬剤耐性菌対策に関する提言」が平成27年2月2日にまとめられました。国民への啓発としては次のように記載されています。
”国民は、薬剤耐性菌によってもたらされる個人及び社会全体に対するリスクについて理解し、特に外来診療における抗菌薬の適正使用についての理解を深める必要がある。国民は、ウイルス性上気道炎等のウイルス性疾患には抗菌薬が必要のないことについて理解するとともに、抗菌薬の必要な場合は、医療者からその必要性と適切な使用方法等について十分な説明を受けることが望ましい。不必要あるいは不適切な抗菌薬の使用によって薬剤耐性菌が蔓延すれば、感染症治療の難渋化や死亡率の増加、及び医療費の増大等の社会全体に対する不利益のみならず、将来それらの耐性菌により自身が治療に難渋する感染症を発症するリスクについても理解することが望ましい。
国は、国民に対する薬剤耐性菌と抗菌薬の適正使用に関する基礎的な教育と、効果的な情報提供を行うことが必要である。WHO は、薬剤耐性菌の脅威及び抗菌薬の適正使用についての基礎的教育を学校教育において行うことが望ましいとしている。又、国はインターネットで抗菌薬を購入をしている人々を始め、広く国民に効果的な情報提供を行うべきである。
感染症診療及び感染制御に従事する医療者、医療機関及び関連学会は、AMRの当事者として抗菌薬の適正使用を積極的に推進するとともに、上記国民への教育及び情報提供に関して、国に対して適切な助言を行うべきである”